自主マス夏合宿日記

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第19期基礎コース(映像・表現系)
伊藤 麻利江(文学部日本文学科2年)

 今年の自主マスの夏季合宿は、富山県で実施された。例年との違いは、初日の夜に八尾町の人々が大切に受け継いできた『おわら風の盆』の前夜祭を見学に行ったことだ。胡弓の音にあわせ幽玄に踊るさまは、これまでの祭り=華やかさや喧騒といった概念を一掃させる一種独特のものだった。しかし、これも単に観光のためだけでなく合宿の重要課題である「番組制作」につなげるためのものであった。

 
 8月21日、まさに合宿日和の明るく晴れた暑い朝、約180人の講座生が大学に集合し、それぞれやる気に満ちた表情でバスに乗り込んだ。合宿などの行事には異様に張り切ってしまう私だが、自主マスの合宿だけは不安と緊張でワクワクする余裕など全くない。バスに乗ったその瞬間から合宿はスタートするのだ。去年、体育会より厳しいとうわさされるこの合宿に参加し頭と体を鍛えたが、毎年自主マスの合宿はこの目的達成のために内容が変わるため緊張感はいや増す。自主マスは授業でも合宿でも常に進化している。2年在籍していて感じることだ。

 
 富山までの7時間、バスの中ではフリートークと他人紹介という最初の試練が待っていた。フリートークのお題は『私のトリビア』。バスの中とはいえフリートークは何度やっても緊張する。私はいくつか用意してきた中から、日本一長い階段の話をし、今まで登ったことのあるエッフェル塔などの長さと比較してそのすごさを伝えようとした。自分の経験を話すこともできると思って選んだが、聞き手の立場で見ると興味をひく話題ではなかったと思い、改めて自分の発想の乏しさを知った。そして、次は広告コースの先輩とペアになり、他人紹介。初めて顔を合わせてから2時間程で相手を取材し、紹介する。最初こそ緊張するが、話していくうちに盛り上がり、相手のことを知ると同時に自分のことも自然と見えてきて、とても有意義な時間に感じられた。自分一人の時間も大切かもしれないが、やはり誰かと話している時間はその何十倍も楽しい。コミュニケーションで相手の価値観を知ることも勉強になるが、それ以前に人を内面から明るくするものだと思う。優勝したペアは、相手の良いところを余すことなく表現できていて流石だと感じた。


 『おわら風の盆』の見学を終えて宿へ戻っても、合宿1日目はまだ終わらない。この合宿のメインとも言える、3日目に行われる番組制作の班が発表され、準備がスタートした。基礎コースは自由課題ということで私たちの班は『笑点』のパロディをすることに決定。メンバーみんなの意見もまとまって盛り上がり、この日のうちに番組の流れと役割も決定した。それぞれネタを考えてくるという課題を持ち帰り、分刻みの長かった1日が終了した。

 2日目。5時30分起床。眠い目を擦りながら漢字テストをしてランニング。実は高校の頃、1000m走はいつもクラスでビリから5番以内だった私にとって、このランニングはとにかく憂鬱だった。そこで合宿前の1ヶ月、家の周辺を毎日走って持久力アップ。その甲斐あってか、苦痛だったランニングも朝の陽射しとゆっくりとした風を受けて気持ちよく感じた。

 そして午前は、男女別番組制作のグループ対抗バスケットボール大会。運動音痴の私もやる気だけは充分である。負けが続いた男子チームを見ていた女子チームは気合いを入れなおして試合に臨んだが、結果は4チーム中3位。悔しい結果となってしまったが、番組で巻き返したい、という気持ちで団結したチームのモチベーションは一気にアップした。

 しかし、午後から再び番組制作の話し合いが始まると、『笑点』は他のチームと同じになってしまうことが判明した。ここで考えを曲げたくないという男子。他の内容を考えたいという女子。初めて意見がわかれたが、それまで練ってきた内容以上のものが咄嗟に思いつかず、そのまま『笑点』で勝負することに決めた。やると決めた以上は、みんなを笑わせる最高のものを作りたい。そのためにテーマや話す人を変えてみたり、言い回しや語尾を変えてみたり、いかに笑えて、なるほどと納得してもらえるネタになるか、意見を出し合い、あっという間に2日目が終わった

 迎えた3日目。前日と同じく漢字テストとランニング。晴天白日のすがすがしい朝にすっかり目も覚めていた。この日はランニング後にコース対抗駅伝大会。私たち基礎(映像・表現)コースはジャンケンで走者が決定。私は応援することになった。スタートと同時に一気に歓声がのぼった。番組のチームからは一旦離れて、いつもの仲間で一致団結。抜きつ抜かれつのレースに走者はもちろん、応援する側も汗だくになりながら夢中で応援した。その結果、7チーム中第1位,なんと優勝したのだ!コースのメンバーに出会って3ヶ月ちょっと。1つになったこの瞬間、いろんなことに挑戦してみんなでもっと高めあっていきたいと思った。
 合宿の裏の目玉である「個人面談」が番組制作の合間に行われた。今や、200人を超える大所帯になったマスコミ講座で唯一、講師や教職員の方たちとじっくり話せる場がここである。進路についての悩みや前期授業について振り返り、後期授業に望むことなどを話せる。講師・教職員の方と率直に本音で話せるのは自主マスならでは、である
 そして迎えた「番組発表」。今年は,何と読売新聞富山支局,北日本新聞、富山新聞の3社が取材に来てくださり、マスコミ講座の知名度の高さに驚いた。3年生のそれぞれ工夫を凝らしたオリジナルの番組発表を見て、1つ1つの工夫やその発想・オリジナリティーに惹きつけられた。やはり3年生のパフォーマンスはすごかった!

 3年生の発表が終わり、今年の新企画である私たち基礎コース各班による自由課題の番組発表の番になった。スタートしてからは、本当に5分があっという間だった。本番は、それぞれが精一杯力を出し切った。結果はあまり評価されず、悔しい思いもしたけれど、話し合いの間、1日目の盛り上がりはどこへいってしまったのかと思うくらい、先へ進まなかったり、何度も中断したりしながらも1つ1つ解決して協力してきたことは力になったと思う。でも、やっぱり悔しかった。

 発表後の打ち上げでは、さっきまでテレビでニュースを読んでいた講座OBのアナウンサーをはじめ富山で活躍しているOB・OGの方々が陣中見舞いに来てくださり、貴重なお話しを聞かせてくださった。「あきらめたら終わりだよ。」すっかり自信をなくして逃げたい気持ちもどこかにあったが、先輩のこの一言が負けず嫌いの私をもう1度やる気にさせてくれた。行く前は長く辛いと思っていた合宿が、あと1日で終わるかと思うと時間を惜しむかのように幾つも話の輪ができていた。(明日は、漢字テストもランニングもないんだな)。あっという間の合宿が終わった。

<写真左> 富山テレビの寺崎裕彦アナウンサー(自主マスコミ講座第4期生)
<写真右> 富山テレビの波多江良一アナウンサー(左)(自主マスコミ講座第10期生)

<写真左> FMとやまの田島悠紀子アナウンサー(中央)(自主マスコミ講座第12期生)
<写真右> 合宿を振り返り,仲間と語り合う女子学生


 自主マスの中にいるといつも自信がなくなる。今回も自分には足りない部分ばかりが見えてきて、どこから手をつければいいのかわからなくなる。課題が浮き彫りになる。今回は去年の楽しく終わった合宿とは違った。悔しかったのは、何をしても力不足だと感じる自分に対してだった。自分はマスコミに向いてないのかもしれない。ずっと目標にしてきたアナウンサーの素質もないのかもしれない。でも、だからこそできる限りの努力をしようと思う。来年は、もっと自信を持って自分のことを話せるよう成長したい。絶対にあきらめない!

 仲間と過ごしながら、改めて自分と向き合ったこの合宿。私にとって大きな意味を持つ4日間となった。

以上